
この記事でわかること
外国人採用の受け入れ準備とは、在留資格・採用要件・雇用契約・受け入れ体制を採用前から入職後まで一貫して整えるプロセスのことです。採用活動と並行して社内の受け入れ環境を整備しないと、内定後に手続きが追いつかなくなったり、入職後すぐに離職につながったりするリスクがあります。
この記事では、受け入れ準備を「採用前」「入社前」「入職後」の3段階に分けて、担当者がすぐに動ける形で整理します。
- ・受け入れ前に整備する書類と手続きの一覧
- ・就業規則・社内規程の多言語対応をどこから始めるか
- ・住居・生活支援の手配タイミングと担当者の決め方
- ・入職後6ヶ月以内に行う定着フォローの内容
- ・特定技能の定期面談・定期届出に関する2025〜2026年の制度変更点
受け入れ準備は採用活動と並行して始める
外国人採用では、日本人採用と異なり在留資格の申請・変更手続きが発生します。在留資格認定証明書(COE)の交付申請から入国までは、海外在住者の特定技能の場合で通常3〜6ヶ月程度、技人国の場合は2ヵ月程度かかることがあり、申請に要する期間は在留資格の種類や審査状況によって異なります。そのため、受け入れ準備は採用候補者が絞られる段階から動き始める必要があります。
採用決定後に「さあ準備しよう」とすると、住居・書類・社内説明が同時に押し寄せます。特に初めて外国人を採用する企業では、何から手をつければいいか分からないまま時間が過ぎるケースが多く見られます。
受け入れ準備の全体像は、次の3段階で整理できます。
| 段階 | 主な作業 | 開始タイミング |
| 採用前 | 在留資格の確認・社内規程の整備・担当者の設定 | 求人票作成前 |
| 入社前 | 在留資格申請・住居確保・生活支援の手配 | 内定後すみやかに |
| 入職後 | オリエンテーション・OJT・定期面談・定着フォロー | 内定後すみやかに |
・関連記事
【外国人採用】初心者でもわかる!必要手続き・採用から入社後までの完全フローガイド
受け入れ前に整備すべき書類・手続きの一覧
採用活動を始める前に、自社が外国人を受け入れるための条件が整っているかを確認します。
在留資格と業務内容の照合
外国人が日本で働くには、就労を認める在留資格が必要です。採用する業務内容が、その在留資格で認められた活動に該当するかを先に確認します。
| 在留資格 | 主な対象業務 | 注意点 |
| 特定技能1号 | 特定産業分野(外食・介護・建設等)の業務 | 分野ごとに試験・技能水準の要件あり |
| 技術・人文知識・国際業務 | IT・経理・翻訳・営業等のホワイトカラー業務 | 学歴・実務経験との紐付け確認が必要 |
| 技能実習 | 技能移転を目的とした業務 | 制度目的が異なるため採用目的との整合に注意 |
在留資格の種類・就労可否・要件は複雑なため、不明な点は行政書士等専門家に確認することをおすすめします。
採用前・内定後の主な確認事項
採用前に確認する事項
・在留資格の種類と要件(求人票作成前)
・雇用条件書・労働条件通知書の内容確認(内定前)
・支援計画書の要否(特定技能の場合は必須)
・登録支援機関への委託要否の判断。
内定後に進める事項
・在留資格申請の開始(行政書士等専門家への委託推奨)
・外国人雇用状況の届出(ハローワーク)
┗雇用保険に加入する場合:雇入れ日の属する月の翌月10日まで
┗雇用保険に加入しない場合:雇入れ日の属する月の翌月末日まで
┗雇用保険被保険者資格取得届を提出した場合は、その届出をもって外国人雇用状況の届出を行ったものとみなされるため、別途提出は不要
・在留資格の有効期限アラート設定(入社後継続)。
在留資格の有効期限を過ぎてしまうと不法就労になります。
不法就労者を雇用した場合、雇用主は不法就労助長罪(入管法73条の2)に問われる可能性があり、2025年6月の法改正により罰則が「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科可)」に強化されました。
有効期限の3ヶ月前にはアラートを立てる仕組みを社内で作っておくことが重要です。
就業規則・社内規程の多言語対応方法
就業規則を全文翻訳する必要はありません。外国人採用で誤解が起きやすい部分を選んで、やさしい日本語や補足資料で整備するのが現実的な方法です。
誤解が起きやすい5項目と整備の進め方
外国人採用で特に誤解が起きやすい場面は次のとおりです。
| 場面 | 起きやすい誤解の例 |
| 有給休暇の申請 | 申請する権利があることを知らない、または申請方法が分からない |
| 残業・休日出勤 | 断れるものかどうか、手当の計算方法が分からない |
| 遅刻・欠勤の連絡 | 誰に、どの方法で連絡すれば良いか分からない |
| 給与明細の控除 | 社会保険料や所得税の控除の意味が分からない |
| 相談窓口 | 困りごとを誰に言えばいいか分からない |
これら5項目を優先して、平易な言葉・短い文で「やさしい日本語版」の補足資料を作ります。「〜してください」と具体的に書き、理解確認は「分かりましたか」ではなく「次はどうしますか」と行動で確認します。
これら5項目の補足資料は、入社前オリエンテーションで説明し、疑問点をその場で解消します。入職後1ヶ月の面談で「分かりにくかったこと」を拾い直すことも重要です。
住居・生活支援の手配タイミング
住居の確保は内定後できるだけ早く動き始めます。来日直前では間に合わないケースがあるためです。
住居手配のタイムライン
| 時期 | 手配する内容 | 担当 |
| 内定直後 | 居住エリアの絞り込み・物件探し開始 | 支援担当または登録支援機関 |
| 在留資格申請中 | 賃貸契約書類の準備・保証会社の手配 | 支援担当 |
| 来日2〜4週間前 | 引っ越し日程の確定・鍵の受け渡し手配 | 支援担当 |
| 入社初日前 | 通勤経路の確認・定期券購入補助 | 現場担当または支援担当 |
住居以外にも、来日直後から銀行口座の開設補助・住民登録・健康保険の手続き・最寄りの医療機関案内・緊急時の連絡先リストなどを入社初日までに整備しておきます。
特定技能で義務付けられている生活支援
特定技能外国人を雇用する場合、次の生活支援が法律上の義務となります。事前ガイダンス・住居の確保支援・生活オリエンテーション・日本語学習機会の提供・定期面談(3ヶ月に1回以上)・転職支援です。社内でこれらを全て担うことが難しい場合は、登録支援機関に委託できます。
【制度改正に関する補足】
特定技能外国人との定期面談は、3か月に1回以上の実施が義務付けられています。2025年4月の運用要領改正により、本人および監督者の同意がある場合にはオンライン面談も可能となりましたが、面談頻度(3か月に1回以上)に変更はありません。
また、面談結果などを報告する「定期届出」については、これまで四半期ごと(年4回)の提出が必要でしたが、2025年4月の制度改正により年1回へと簡素化されました。対象期間は毎年4月1日から翌年3月31日までで、提出期間は翌年4月1日から5月31日までです。
なお、定期面談の実施義務と定期届出の提出義務は別の制度です。定期届出が年1回になったからといって、定期面談まで年1回になったわけではありません。面談は引き続き3か月に1回以上実施する必要があるため、社内で運用ルールを整理しておくことが重要です。
登録支援機関に関する記事 登録支援機関とは?特定技能の専門家が図解で徹底解説|失敗しない選び方5つの秘訣 も併せてご確認ください。
Stepjobでは、内定が決まった求職者に対して日本の生活編・仕事編の研修動画を提供しています。来日前から日本での生活ルールや職場での基本的なマナーを学べるため、入職初日の混乱を大きく減らすことができます。
入社前オリエンテーションで伝えるべき内容
入社当日または最初の週のうちに、職場のルールと相談先をひと通り説明します。口頭だけでなく、紙または画面で資料を渡すと後から確認できます。
・職場のルール:始業・終業時刻と休憩時間、タイムカードの使い方、遅刻・欠勤の連絡方法、有給休暇の取り方と申請先
・報告・連絡・相談:業務上の指示を受ける相手と報告の流れ、分からないことが出たときに聞く相手、緊急時の対応と連絡先
・給与、相談窓口:給与支払日と明細の確認方法、社会保険証の受け取り時期、職場での困りごとを相談できる担当者の名前・連絡先
やさしい日本語(短い文・具体例あり)で資料を作ると伝わりやすくなります。「分かりましたか」ではなく「これをやるときはどうしますか」と行動で確認することが重要です。
受け入れ後6ヶ月以内の定着支援
入職後6ヶ月は、業務・職場・生活の3つで同時に適応を求められる最も負荷が高い時期です。この時期に適切なフォローがあると、その後の定着率が大きく変わります。
時期別のフォロー内容
- 1週間:業務手順の基本確認・相談先の把握確認・生活インフラの安定確認
- 1ヶ月:業務習熟度の確認・職場の人間関係確認・生活面の困りごと確認・1on1面談の実施
- 3ヶ月:業務担当範囲の見直し・評価・給与の認識確認・在留資格の有効期限確認・目標設定
- 6ヶ月:定着意欲の確認・長期安定確認・今後のキャリア希望の把握・受け入れ体制の振り返り
担当部署・担当者の役割と責任の明確化
受け入れ準備と定着支援を機能させるには、「誰が何を担当するか」を明確にすることが前提です。役割が曖昧なまま運用を始めると、問題が起きたときに対応が遅れます。
| 担当 | 主な役割 | 対応タイミング |
| 人事担当 | 在留資格管理・書類手続き・労務管理 | 採用前〜継続 |
| 現場担当 | 業務指導・日常コミュニケーション・OJT | 入社後〜継続 |
| 支援担当 | 生活支援・面談・相談対応 | 内定後〜継続 |
中小企業では3つの担当を専任で設けることが難しい場合があります。兼任でも機能させるには「判断できる範囲」と「外部に渡す範囲」をあらかじめ決めておきます。在留資格・法的判断・メンタル対応は専門家または外部機関に委ねます。担当者不在時の代替連絡先も必ず設定します。
Stepjobの受け入れ準備・定着支援サポート
Stepjobは、外国人人材紹介だけでなく採用後の定着支援まで一貫して行っています。内定が決まった求職者に対して日本の生活編・仕事編の研修動画を提供することで、入職前から日本での生活や職場ルールについて理解を深めることができます。採用後も引っ越しサポートや定期面談など、生活面での手厚いサポートを継続して行っています。
★動画CTA
受け入れ準備の人員・体制・ノウハウが不足している段階でも、Stepjobのサポートを活用することで受け入れ体制を整えることができます。採用方法は人材紹介・スカウト・掲載の3つから、企業の状況に合わせて選べます。
よくある質問
Q: 外国人採用の受け入れ準備は何から始めればよいですか?
まず採用しようとしている業務内容がどの在留資格に該当するかを確認します。次に在留資格の種類・就労可否・要件を確認し、雇用条件書の様式と社内の担当者を決めます。書類と担当者が決まれば、採用活動と並行して準備を進められます。
・関連記事
【外国人採用】初心者でもわかる!必要手続き・採用から入社後までの完全フローガイド
Q: 特定技能外国人の支援義務はすべて社内で行う必要がありますか?
登録支援機関に委託することで、支援計画の実施義務を外部に任せることができます。生活オリエンテーション・定期面談・相談対応など、義務支援の全部または一部を登録支援機関に委託できます。社内リソースが不足している場合は委託を検討します。
Q: 特定技能の定期面談はオンラインで実施してもよいですか?
2025年4月の運用変更により、対象となる特定技能外国人本人の同意があれば、オンラインでの定期面談が認められるようになりました。ただし、面談の様子は雇用契約終了から1年以上保管し、入管から求められた場合は提示する必要があります。受け入れ後初めての面談や担当者が変わった直後の面談は、できる限り対面で行うことが望まれます。
まとめ
外国人採用の受け入れ準備は、書類・就業規則・住居・生活支援・定着フォローを「採用前」「入社前」「入職後」の3段階で整理することで、抜け漏れを防ぎながら進められます。担当者・期限・相談先を事前に決めておくことが、スムーズな受け入れと定着支援の鍵です。
受け入れ準備で最も重要なのは、入職後6ヶ月以内の継続的なフォローです。最初の数ヶ月はこまめに声をかけ、生活・業務・職場環境の3つで問題が起きていないかを確認することで、長く活躍してもらえる環境をつくれます。
社内体制が整うまでは、登録支援機関や人材紹介会社のサポートを活用することも有効な選択肢です。Stepjobでは受け入れ準備から定着支援まで一貫してご相談いただけます。
Stepjobとは?
Stepjobは、外国人人材紹介のほか外国人の生活周りにおける支援業務も行っております。
引っ越しサポートや、定期面談など入職後にも手厚くサポートしております。
内定が決まった求職者に対して、日本の生活編・仕事編についてStepjobから研修動画を提供します。
外国人の定着率は「95% 」(※内定後6ヶ月)なので、外国人採用に不安を感じている方や、
外国人を採用しても定着率が低いとお悩みの方は、ぜひご相談ください。
Stepjobの採用方法は「人材紹介」「スカウト」「掲載」の3種類あり、企業様に合わせて採用方法を選ぶことができます。









