
外国人採用の定着率を上げる社内運用の見直し方
この記事でわかること
外国人採用の定着率とは、採用した外国人労働者が一定期間在籍し続ける割合のことです。定着率が低いとき、原因は本人の適性だけでなく、受け入れ後の社内運用にある場合が多くなります。入職前の説明内容・日常の声かけ・面談の設計・生活相談の受け皿を見直すことで、定着率を改善できます。
- ・離職率が高い職場に共通する課題の見つけ方
- ・日常コミュニケーションで変えられること
- ・1on1面談の頻度と確認項目の設計
- ・入職後6ヶ月の定着フォローチェックリスト
- ・定着率を数字で管理する指標の作り方
外国人採用で定着率が低い本当の理由
外国人採用後に定着率が上がらないとき、多くの企業は「採用のミスマッチ」や「本人のやる気」に原因を求めがちです。しかし実際には、受け入れ側の仕組みに課題があるケースがほとんどです。
定着率が低い職場に共通する特徴は次のとおりです。
- ・担当者が「問題が起きたら対応する」姿勢で、予防的なフォローをしていない
- ・業務説明はしたが、評価基準・給与の仕組み・将来のキャリアの見通しを伝えていない
- ・日本語での指示が十分に伝わっているかを確認していない
- ・生活面での困りごとを職場で相談できる環境がない
- ・入職後1ヶ月以降、面談の頻度が急激に下がる
定着率の改善は、採用段階ではなく「入職後に何が起きているか」を変えることで達成できます。
離職が起きやすいタイミングと原因の特定方法
外国人採用後の離職は、複数の要因が重なって起きることが多くなります。時期別の主なパターンは次のとおりです。
- ・入職後1ヶ月以内:業務内容・職場環境が事前説明と異なる(求人票・面接説明と現場実態のずれ)
- ・入職後3ヶ月:評価・昇給の見通しが不明確(評価基準と期待値の共有不足)
- ・入職後6ヶ月:生活面の困りごとが蓄積(住居・お金・人間関係の相談先がない)
- ・在留資格更新前後:更新への不安・手続きの不透明さ、厚生年金の脱退一時金(最大5年分受給可能)を意識した帰国検討
離職原因のカテゴリは「業務・職場環境」「生活面」「人間関係」「制度・手続きの不安」の4つに整理できます。退職者の離職時期を入職月別に並べ、このカテゴリで分類すると、発生率が高い部署・時期が特定できます。数字だけでなく、現場管理者・支援担当の感覚もあわせて確認することで、改善の優先順位が立てやすくなります。
【補足】在留資格更新前後の離職と脱退一時金の関係
厚生年金に加入していた外国人労働者が帰国する際は、保険料の払い戻しを受けられる「脱退一時金」制度があります。2021年4月の制度改正により受給上限が3年分から5年、更に今後は8年に引き上げられたため、特定技能1号(在留期間上限5年)などでは、在留期間の終盤に帰国を検討する動機の一つになり得ます。在留資格更新のタイミングで離職を申し出るケースが見られる場合は、本人の不安だけでなく、こうした制度的な背景も踏まえて早めに継続雇用の意思確認を行うことが有効です。
日常的なコミュニケーション設計の見直し
「困ったときだけ相談を受ける」体制では、問題が深刻になってから発覚しやすくなります。普段から相談しやすい接点を設計することが、定着率改善の基盤です。
日常コミュニケーションで見直す5つのポイント
| 現状の問題 | 改善の方向性 |
| 相談先が誰か分からない | 担当者を名前と連絡先で明示する |
| 管理者からの声かけがない | 週1回以上の短い確認(業務進捗・困りごと) |
| 「はい」だけで終わる確認 | 「次はどうしますか」「何が分かりにくいですか」と問いかける |
| 重要な指示が伝わっていない | 口頭+書面・図で補足する |
| 生活の悩みを職場に言えない | 業務相談と生活相談の窓口を分ける |
やさしい日本語のポイント
曖昧な表現は避け、「いつ・何を・どうするか」を明示します。例:「これ、よろしくやっておいて」→「この書類を3枚コピーして、机の上に置いてください」。「一文を短くする」「主語と動詞を明確にする」「理解確認は行動で確認する」という3点から始めると効果的です。外国人従業員が配属される前に、現場管理者へこれらのポイントを共有しておきます。
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入職後の評価・キャリア説明の設計
定着率に影響する要因として見落とされがちなのが、「評価とキャリアの見通し」です。入職時に「何がどのように評価されるか」「昇給・昇格の条件の目安」「1年・3年でどんな仕事ができるようになるか」を明示します。
在留資格の更新時期と雇用継続の見通しが一致していないと、更新を機に退職を検討するケースがあります。在留資格の期限6ヶ月前には、雇用継続の意思確認と更新申請の段取りを本人と共有します。
1on1面談の頻度と内容の最適化
1on1面談は定着率管理の中核です。頻度だけ増やしても、聞く内容が業務報告だけでは生活面の不安を拾えません。
面談の推奨頻度
入職後の時期に合わせて面談の頻度を調整します。入職後1週間は毎日短く声をかけて最初の混乱を早期に解消します。入職後1ヶ月は週1回(15〜30分)で業務習熟度と生活安定を確認します。入職後2〜3ヶ月は2週間に1回で評価認識のずれと人間関係を確認します。入職後4〜6ヶ月は月1回で中期的な定着意欲とキャリアを確認します。安定後は2〜3ヶ月に1回、変化があれば随時対応します。
面談で確認する4軸
業務・生活・人間関係・評価の4軸で確認します。業務の話だけで終わらせないことが定着支援のポイントです。
・業務面:業務の手順は理解できているか、一人でできない作業・疑問点はあるか、業務量・ペースは適切か
・生活面:住居・家賃・生活費に困りごとはないか、体調・疲労の状態はどうか、役所・医療機関・生活インフラで困っていることはないか
・人間関係:職場の上司・同僚との関係は良好か、相談できている相手は社内にいるか
・評価、キャリア:今の仕事に満足しているか、給与・評価に疑問はないか、今後どんなキャリアを望んでいるか
面談では「問題はありますか?」という閉じた質問より「最近の仕事で一番難しいことは何ですか?」という開いた質問の方が情報を引き出せます。面談内容は「日付・テーマ・対応内容・次回確認事項」でメモを残し、担当者が変わった際の引き継ぎに使います。在留資格・法的問題・メンタルヘルスの問題は専門家に渡すことが前提です。
生活相談・悩み相談の受け皿の作り方
仕事の不満よりも生活の困りごとが先に定着率を下げることがあります。相談の種類ごとに窓口を分けて設計します。業務・職場の困りごとは現場管理者、生活インフラ(住居・病院等)は支援担当または登録支援機関、給与・勤怠は人事担当、在留資格・書類は人事または行政書士、精神的な悩みは外部機関(産業医・EAP等)に振り分けます。
相談窓口の案内は文書で渡し、入職時のオリエンテーションで説明します。Stepjobでは引っ越しサポートや定期面談など、採用後の生活支援も継続して対応しています。
入職後6ヶ月の定着フォローチェックリスト
- ・入職1週間:業務手順の理解確認・相談先の確認(現場・支援担当)
- ・入職1ヶ月:生活インフラの安定確認・職場人間関係の確認面談(支援担当・現場)
- ・入職3ヶ月:業務習熟度・評価の擦り合わせ・在留資格の有効期限確認(現場・人事)
- ・入職6ヶ月:生活面の困りごと・継続意欲・次期目標の確認(支援担当・現場・人事)
担当者が変わるタイミングで、このリストと面談記録を必ず引き継ぎます。
定着率を数字で管理する仕組み
感覚ではなく数字で管理することで、改善策の効果を検証できます。確認すべき主な指標は次のとおりです。
- ・在籍率(入職6ヶ月時点):月次で入社者数・退職者数を管理
- ・離職理由の分類:退職面談または退職後アンケートで「業務」「生活」「評価」「対人」に分類
- ・面談実施率:計画に対する実施記録の対比(月次)
- ・相談件数の推移:業務・生活・対人の件数を月次で追う
「どの部署で離職が集中しているか」「面談を多くしている職場と少ない職場で在籍率に差があるか」を比較することで改善ポイントが見えてきます。
よくある質問
Q: 外国人採用の定着率を見る期間はどのくらいが適切ですか?
入職後6ヶ月を一つの区切りとして管理するのが一般的です。1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月で区切ると、「説明不足による早期離職」「評価不満による中期離職」「生活の悩みによる長期的な意欲低下」という段階ごとに原因を切り分けやすくなります。6ヶ月以降は1年・3年単位で長期在籍率を追うことで、採用の費用対効果も把握しやすくなります。
Q: 社内に支援担当者を置く余裕がない場合はどうすればよいですか?
登録支援機関や人材紹介会社の定着支援サービスを活用する方法があります。Stepjobでは生活支援・定期面談・研修動画提供など、入職後のフォロー全般を外部でカバーできます。社内では「情報共有の窓口」と「緊急時の連絡先」だけを確保しておき、実務的なフォローを外部に委託する形で始めることができます。
まとめ
外国人採用の定着率は、採用人数よりも「入職後に何が起きているか」で決まります。離職の原因を時系列で特定し、日常コミュニケーション・面談・生活相談の仕組みを整えると、定着率は改善できます。
取り組みの優先順位は次のとおりです。
- 1. まず相談先を明示する:担当者の名前・連絡先を本人に渡す
- 2. 週1回の声かけを習慣にする:困りごとを深刻になる前に拾う
- 3. 面談を4軸で設計する:業務・生活・人間関係・評価を毎回確認
- 4. 記録を残す:担当者が変わっても引き継げる状態にする
- 5. 数字で管理する:在籍率・離職理由・面談実施率を月次で確認
6. 受け入れ体制・面談頻度・外部支援の活用範囲を確認し、改善できる部分から順に着手してください。
Stepjobとは?
Stepjobは、外国人人材紹介のほか外国人の生活周りにおける支援業務も行っております。
引っ越しサポートや、定期面談など入職後にも手厚くサポートしております。
内定が決まった求職者に対して、日本の生活編・仕事編についてStepjobから研修動画を提供します。
外国人の定着率は「95% 」(※内定後6ヶ月)なので、外国人採用に不安を感じている方や、
外国人を採用しても定着率が低いとお悩みの方は、ぜひご相談ください。
Stepjobの採用方法は「人材紹介」「スカウト」「掲載」の3種類あり、企業様に合わせて採用方法を選ぶことができます。









