この記事でわかること
不法就労助長罪は、就労資格のない外国人を働かせる、支配下に置いて就労させる、就労をあっせんするなどの行為を処罰するものです。
企業は「知らなかった」だけで責任を免れるとは限りません。
条件を分けて見るのが要点です。
- 成立する主な行為
- 企業と担当者の罰則
- 採用時の防止策
以下の記事にて、初めての外国人採用に必要な基本フローから成功のポイントまでを分かりやすく解説しています。
【外国人採用】初心者でもわかる!必要手続き・採用から入社後までの完全フローガイド
不法就労助長罪を防ぐために最初に見ること
不法就労助長罪を避けるための確認項目は、候補者の在留資格と就労制限、在留期限、予定業務、勤務時間、配属後の職務変更です。書類を受け取った事実だけでなく、その仕事が認められる活動に入るかまで照合します。紹介会社を利用していても、雇用する企業側の手順は省けません。
不法就労助長罪の要点
不法就労助長罪の判断材料は、就労資格のない外国人を働かせたか、就労させる目的で支配下に置いたか、業として就労をあっせんしたかです。受入企業が知らなかった場合でも、在留カードを見ないなど過失があれば処罰される可能性があります。採用前の照合記録が防止策の土台です。
成立する主な行為
対象になり得るのは、在留期限を過ぎた人を雇う、認められた活動範囲を外れる仕事に就かせる、資格外活動許可の条件を超えて働かせるなどの行為です。名目上の職種ではなく、実際に任せている業務と勤務実態で考えます。採用後の配置転換や応援業務も活動範囲から外れないかを見ると判断しやすくなります。
資格別の判断例
「永住者」など就労制限がない在留資格は職種の制限を受けません。一方で、在留カードの有効性や在留期間の満了日、本人同一性については確認が必要です。「技術・人文知識・国際業務」などは、予定業務が認められる活動に当たるかが判断軸です。「特定活動」は指定書の記載により範囲が異なるため、資格名だけで採否を決めません。
採用前チェック項目
採用前には、候補者の在留資格、就労制限欄、在留期限、資格外活動許可を一覧にします。その横に、職務内容、勤務時間、雇用開始日、勤務地を並べて照合します。一致しない点や読み取れない点が一つでもあれば、採用決定や就業開始を急がず、出入国在留管理官署などへ問い合わせます。
外国人採用で自社に合う在留資格を見極めるための基本の見方を整理した記事も参考にしてください。
外国人採用で自社に合う在留資格を見極める実務ガイド | 外国人採用で失敗しないための5つの確認ポイント
企業と担当者が問われる罰則
企業責任は、採用担当者だけの問題ではありません。具体的には、経営者が採用方針を決め、現場責任者が実際の仕事を割り当て、人事が書類を扱うため、どこか一つで情報が止まると違反につながります。法人と行為者の双方が責任を問われる可能性を前提に、採用から配属までを一つの管理対象にします。
企業と担当者の罰則
| 時点 | 罰則の上限 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 2026年8月時点 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、もしくは併科 | 現行法に基づき採用前手順を運用する |
| 2027年4月1日以降 | 5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金、もしくは併科 | 施行日までに社内規程や研修資料を更新する |
違反を防ぐ初動
採用前は、在留カードまたは旅券等の原本、本人同一性、在留資格、就労制限、在留期限、資格外活動許可、指定書を見ます。そのうえで職務記述書と勤務条件を突き合わせます。判断できない点があれば、雇用契約の締結や就業開始を急がず、出入国在留管理官署などの公的窓口へ問い合わせます。
「知らなかった」で済まされない理由
「本人から働けると聞いた」「紹介会社から問題ないと言われた」という口頭説明だけでは、防止手順として不十分です。企業側の判断材料として、原本を見た日、予定業務と活動範囲を照合した記録、疑義があった場合の問い合わせ結果を残します。知らなかった場合でも過失があれば責任を問われ得る点を社内で共有します。
委託・派遣でも企業側の手順は必要
委託や派遣を利用する場合も、実際の就業場所や指示内容が契約と合っているかを見ます。紹介元・派遣元が行う書類管理の範囲、受入企業が見る情報、職務変更時の連絡方法を契約前に分けます。相手に任せきりにせず、受入現場で予定外の業務を割り当てないことが具体的な防止策です。
疑義があるときは就業を保留する
疑義があるときは、候補者を責めたり、その場で書類を偽物と断定したりせず、就業開始を保留します。在留期限切れ、失効表示、本人情報の不一致、指定書がない、職務範囲を読み切れないといった状態を保留条件にします。追加資料や公的窓口への照会で根拠が得られるまで、現場へ配属しません。
採用後に見落としやすい場面
見落としが起きやすいのは、採用時には適法でも配属後に職務が変わる場合、複数店舗や事業所を応援する場合、留学生の勤務時間が許可条件を超える場合です。例えば、繁忙期の応援として本来と異なる作業を続けて任せると、職種名が同じでも実態が変わる可能性があります。
配置転換や時間超過の盲点
| 盲点 | 起こりやすい場面 | 防止策 |
|---|---|---|
| 職務変更 | 配置転換・応援勤務 | 変更前に活動範囲を再判定する |
| 時間超過 | 留学生のシフト追加 | 資格外活動許可の条件と集計する |
| 期限切れ | 更新連絡の遅れ | 満了日前の社内通知日を決める |
| 委託任せ | 派遣・紹介の利用 | 受入側の担当範囲を明記する |
採用を止める判断基準
採用を止める条件は、書類原本を提示できない、在留期限が切れている、失効情報がある、本人情報が一致しない、予定業務が活動範囲に入るか判断できない場合です。現場の人手不足を理由に仮配属せず、判断者と照会先を決めます。保留中に任せてよい作業があると推測で決めるのも避けます。
採用時と雇用後に残す記録
社内記録には、在留カード等の原本を見た日、在留資格、就労制限、在留期限、資格外活動許可、指定書、予定業務、勤務時間、判定者を残します。紹介会社や派遣元から受け取った説明も記録し、誰が最終判定をしたかを明確にします。個人情報は目的と保存期間を定めて扱います。
採用時の証跡
採用手順には、書類を見る人、職務内容を定める人、最終判定者、疑義がある場合の差し戻し先を入れます。人事だけでは現場の仕事を把握できず、現場だけでは在留資格を読めないため、両者が同じチェック票を使う運用が判断材料になります。研修では実例を使い、職種名ではなく実際の作業で考えます。
雇用後の再点検
雇用後は、在留期限、更新状況、配置転換、職務追加、兼業、勤務時間の変化を追います。満了日前に本人へ連絡する日を決め、現場が仕事を変える場合は人事へ事前連絡するルールを設けます。採用時の一度だけではなく、条件が変わるたびに就労可否を見直す仕組みが不法就労防止につながります。
2027年の厳罰化に向けた準備
不法就労助長罪の罰則は、2027年4月1日から引き上げられます。2026年中に採用手順、就業開始の保留基準、雇用後の再確認、委託先との連絡方法を見直しておくと、施行直前の形式的な規程改定で終わりません。罰則額だけを社内へ伝えるのではなく、誰がどの書類と職務を照合するかまで研修します。
現行罰則と改正後を区別する
2026年8月時点では、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金、もしくは併科が上限です。2027年4月1日以降は、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金へ引き上げられます。また、法人への両罰規定による罰金上限も、個人と同じく300万円から500万円へ引き上げられます。記事や社内資料には基準日と施行日を併記し、将来の罰則を現行法として扱わないようにします。
規程・研修・委託契約を更新する
社内規程では原本確認、職務照合、記録、再点検の担当者を定めます。研修では、在留カードがあるだけでは就労可否を判断できないことや、職務変更・時間超過も不法就労につながり得ることを扱います。両罰規定により法人自体が罰金対象になることも研修に含め、経営層への説明資料にも記載します。派遣・紹介・業務委託を利用する場合は、確認事項と変更時の連絡期限を契約書や運用表へ反映します。
企業向けの不法就労防止チェックリスト
不法就労防止は、採用時の書類確認だけでは完了しません。候補者本人、在留資格、予定業務、勤務条件、雇用後の変更を一つの流れで管理します。紹介会社や現場責任者から「問題ない」と口頭で伝えられても、企業側の最終判定者が根拠を確認し、疑義があれば就業を止める運用が必要です。
採用前に止める5項目
採用前は、原本と本人が一致しない、在留期限またはカードの有効性に疑義がある、就労制限や指定書を確認できない、予定業務が活動範囲に入るか判断できない、資格外活動許可の勤務条件を満たせない、の5項目を保留条件にします。保留解除には追加資料や公的窓口への確認結果を使い、担当者の推測だけで進めません。
雇用後に再確認する4場面
再確認のきっかけは、在留期限の接近、配置転換や職務追加、勤務時間の増加、派遣先・就業場所の変更です。人事が把握する在留情報と、現場が把握する実際の仕事を定期的に突き合わせます。変更前に再判定するルールを設け、すでに働き始めてから問題に気づく状態を避けることが企業の確認体制になります。
よくある質問
在留カードを見れば企業の責任は果たせますか?
カードの有無だけでは足りません。
在留資格と就労制限、期限、指定書などを予定業務と照合し、判断記録を残します。
紹介会社から採用した場合も企業側の手順は必要ですか?
必要です。
Stepjobのように外国人材紹介・採用支援・雇用支援を扱う支援先を利用しても、受入企業は実際の職務と配属後の変化を管理します。
2027年に罰則は変わりますか?
2027年4月1日から上限が5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金へ引き上げられる予定です。法人への両罰規定による罰金上限も同時に500万円へ引き上げられます。
まとめ
不法就労助長罪を防ぐには、在留カードを受け取るだけでなく、在留資格と予定業務、勤務時間、在留期限を照合します。2026年8月時点の罰則上限は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、併科もあります。疑義があれば就業を保留し、雇用後も職務変更や期限を追います。委託先任せにしない社内分担も欠かせません。
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